SSBJとは — 日本版サステナビリティ開示基準の全体像を5分で
設立背景・3基準の構成・時価総額別の適用スケジュールと保証範囲を、実務者の目線で整理する。
要点
- SSBJ(サステナビリティ基準委員会)が2025年3月に日本版サステナビリティ開示基準を最終化し、2026年4月以降の事業年度から段階的に義務適用される。
- 時価総額3兆円以上の企業は2027年3月期から、1兆円以上は2028年3月期から強制適用となり、保証はScope1・2排出量とガバナンス・リスク管理から限定的保証が求められる。
- 担当者は自社の適用時期を確認し、Scope1・2排出量の算定体制とガバナンス・リスク管理プロセスの整備を優先的に進める必要がある。
SSBJとは何か:設立背景と役割
SSBJ(サステナビリティ基準委員会、Sustainability Standards Board of Japan)は、2022年7月にFASF(財務会計基準機構)の下に設立された基準設定主体である。その役割は、日本のサステナビリティ開示基準を開発することにある。
具体的には、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が公表したIFRS S1(サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求)およびS2(気候関連開示)を、日本の法制度や企業実務に合わせてローカライズした基準を策定した。2025年3月、SSBJは日本版サステナビリティ開示基準として「適用基準」「一般基準」「気候基準」の3つを最終化・公表した。
この基準は、有価証券報告書での開示として義務化される方向で、企業内容等の開示に関する内閣府令等の改正により適用開始が定められている。国際的な開示基準との整合性を保ちつつ、日本企業の実務負荷を考慮した設計となっている点が特徴である。
適用スケジュール:時価総額別の段階適用
金融庁が示した方針では、SSBJ基準に基づく開示は2026年4月1日以後開始事業年度から段階的に適用される。具体的な強制適用の時期は、基準日の平均時価総額に応じて以下の通り区分される。
- 時価総額3兆円以上:2026年4月1日以後開始事業年度(2027年3月期)から強制適用
- 時価総額1兆円以上:2027年4月1日以後開始事業年度(2028年3月期)から強制適用
- 時価総額5,000億円以上(プライム市場上場):2028年4月1日以後開始事業年度(2029年3月期)から強制適用
この段階適用は、企業の準備状況や開示体制の整備期間を考慮したものとみられる。時価総額が大きい企業から順に適用が開始されるため、対象企業は自社の区分を早期に確認し、対応計画を策定する必要がある。
開示内容と保証の範囲
SSBJ基準に基づく開示では、限定的保証(limited assurance)が求められる。保証の範囲は、当初2年間は以下の項目に限定される。
- Scope1・2の温室効果ガス(GHG)排出量
- ガバナンスに関する開示項目
- リスク管理に関する開示項目
Scope3(サプライチェーン全体の排出量)や戦略・指標・目標に関する項目は、当初の保証対象から除外されている。この経過措置は、企業の保証対応の負荷を軽減する意図があると考えられる。
経過措置と実務上の留意点
SSBJ基準の適用初年度等では、「二段階開示」が認められている。これは、有価証券報告書の提出後に訂正報告書で開示する方法である。法定の提出期限までに開示情報を完全に準備できない場合、一旦必要な情報を後日提出することを可能とする措置である。
この経過措置は、初年度の開示実務における不確実性やデータ収集の困難さを考慮したものとみられる。ただし、二段階開示を利用する場合でも、投資家への情報提供のタイムリー性や訂正報告書の提出実務の負荷を考慮する必要がある。
So What(実務含意)
時価総額3兆円以上の企業は2027年3月期から強制適用。Scope1・2排出量の算定とガバナンス・リスク管理の文書化を2026年度中に完了させる必要がある。二段階開示の活用も視野に、初年度の準備負荷を軽減する方策を検討すべき。
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