CSDDDとは — 企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令の日本企業への波及
EUがバリューチェーンの人権・環境デューデリを義務化。域外の日本企業にも取引を通じて波及する。
要点
- CSDDD(企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)は、一定規模以上の企業に、自社および取引先を含むバリューチェーン上の人権・環境への負の影響を特定・防止・是正する義務を課すEUの指令。
- 直接の対象は主にEUの大企業と、EU域内で一定の売上を持つ域外企業だが、対象企業の取引先となる日本企業にも、要請という形で実質的に波及する。
- 国連指導原則(UNGP)やOECDガイダンスが土台であり、日本企業はまず人権デューデリの体制整備と、主要取引先からの情報要請への対応準備を進める必要がある。
CSDDDとは何か
CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)は、企業に対し、自社の事業活動およびバリューチェーン上で生じる人権・環境への負の影響を、特定・防止・軽減・是正する義務を課すEUの指令である。
これまで人権・環境デューデリジェンス(DD)は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」やOECDの多国籍企業行動指針に基づく、企業の自主的な取り組みとして広がってきた。CSDDDは、その一部を法的義務へと引き上げる点に大きな意味がある。対象企業は、DDの実施だけでなく、その結果の開示や是正措置まで求められる。
日本企業への「取引を通じた」波及
CSDDDの直接の適用対象は、主に一定規模以上のEU企業と、EU域内で一定の売上を持つ域外(非EU)企業とされる。多くの日本企業は、この直接の閾値には該当しないケースが多い。
しかし実務上は、取引を通じた波及が本質である。CSDDDの対象となるEU企業は、自社のバリューチェーン全体でDDを行う義務を負う。その結果、これらの企業のサプライヤーや取引先である日本企業に対して、人権・環境リスクに関する情報提供や是正対応の要請が及ぶ。つまり、日本企業は「規制の直接対象ではないが、取引先経由で実質的な対応を求められる」立場に置かれる。
なお、CSDDDは適用範囲や施行時期をめぐり、EU域内でも見直しの議論が続いている。最終的な対象範囲・スケジュールは一次ソースで確認する必要がある。
So What(実務含意)
日本企業は、CSDDDの直接適用の有無にかかわらず、UNGPやOECDガイダンス、経済産業省のガイドラインに沿った人権デューデリジェンスの体制整備を進めておくことが現実的な備えになる。特に、EU企業を主要取引先に持つ製造業は、リスク評価から是正までのプロセスを先行して整え、取引先からの情報要請に応えられる状態を作ることが重要である。
出典(一次ソース)
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