2026年8月22日(土)  ·  アジア・欧州 エディション
SSBJ 開示基準あと221日CBAM 炭素国境適用中CDP 評価・データ適用中CSRD 開示規制適用中
Sustainability Catch

サステナビリティ実務者のための専門メディア·SUSTAINABILITY INTELLIGENCE

トップ人権・社会用語

人権 · 社会 / 用語

CSDDDとは — 企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令の日本企業への波及

EUがバリューチェーンの人権・環境デューデリを義務化。域外の日本企業にも取引を通じて波及する。

2026年6月18日·読了 6分·編集部·人権・社会

要点

  • CSDDD(企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)は、一定規模以上の企業に、自社および取引先を含むバリューチェーン上の人権・環境への負の影響を特定・防止・是正する義務を課すEUの指令。
  • 直接の対象は主にEUの大企業と、EU域内で一定の売上を持つ域外企業だが、対象企業の取引先となる日本企業にも、要請という形で実質的に波及する。
  • 国連指導原則(UNGP)やOECDガイダンスが土台であり、日本企業はまず人権デューデリの体制整備と、主要取引先からの情報要請への対応準備を進める必要がある。

CSDDDとは何か

CSDDD(Corporate Sustainability Due Diligence Directive、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令)は、企業に対し、自社の事業活動およびバリューチェーン上で生じる人権・環境への負の影響を、特定・防止・軽減・是正する義務を課すEUの指令である。

これまで人権・環境デューデリジェンス(DD)は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」やOECDの多国籍企業行動指針に基づく、企業の自主的な取り組みとして広がってきた。CSDDDは、その一部を法的義務へと引き上げる点に大きな意味がある。対象企業は、DDの実施だけでなく、その結果の開示や是正措置まで求められる。

日本企業への「取引を通じた」波及

CSDDDの直接の適用対象は、主に一定規模以上のEU企業と、EU域内で一定の売上を持つ域外(非EU)企業とされる。多くの日本企業は、この直接の閾値には該当しないケースが多い。

しかし実務上は、取引を通じた波及が本質である。CSDDDの対象となるEU企業は、自社のバリューチェーン全体でDDを行う義務を負う。その結果、これらの企業のサプライヤーや取引先である日本企業に対して、人権・環境リスクに関する情報提供や是正対応の要請が及ぶ。つまり、日本企業は「規制の直接対象ではないが、取引先経由で実質的な対応を求められる」立場に置かれる。

なお、CSDDDは適用範囲や施行時期をめぐり、EU域内でも見直しの議論が続いている。最終的な対象範囲・スケジュールは一次ソースで確認する必要がある。

So What(実務含意)

日本企業は、CSDDDの直接適用の有無にかかわらず、UNGPやOECDガイダンス、経済産業省のガイドラインに沿った人権デューデリジェンスの体制整備を進めておくことが現実的な備えになる。特に、EU企業を主要取引先に持つ製造業は、リスク評価から是正までのプロセスを先行して整え、取引先からの情報要請に応えられる状態を作ることが重要である。

本サイトのコンテンツは「情報提供」を目的としたものであり、投資・法務・税務その他の専門的助言を提供するものではありません。規制・基準は改訂されます。意思決定の前に一次ソースと最新情報をご確認ください。

関連記事

あわせて読む

サプライチェーンと開示を象徴するコンテナ港
基準解説

SSBJ基準、2027年3月期から段階適用 — プライム上場はまず時価総額から逆算せよ

適用開始年度は自社の時価総額で決まる。逆算スケジュールとScope3データ収集の設計から着手する。

·記事 8分
速報

SSBJ基準の適用開始、開示府令改正で確定 — 段階スケジュールと二段階開示が固まる

金融庁が内閣府令改正でSSBJ基準の有報開示適用を確定。時価総額区分の3段階と保証の開始時期を整理する。

·記事 9分
重工業プラント
テーマ解説

サーキュラーエコノミー — 資源循環が日本企業の競争条件に変わる転換点

EUのエコデザイン規則が輸出実務に直接効き始めた。CE対応はコストでなく競争力の源泉になる。

·記事 8分